真 もわ爛漫

しゃーら、しゃーらしゃーら

読書ってのは読めばよいというものではない

502 Bad Gateway

このリストの一冊たりとも読みきってないのでなんとも言えないんだけど、あえて言えばこれはコンプレックス煽るだけの微妙なセレクションだなぁと。ほら、ネットの人なんかこんな本読もうとすら思ってこなかったわけじゃないですか。

読書についていつも思うのは、なんで難しい本が素敵、とか量をたくさん読むと素敵、ということになるのかってことで。ぶっちゃけ現代の分厚い文芸書を何冊読んでもそんなに映えないぜ、いろいろと。哲学書なんか、経験上特に。「読んでない」という経験の上でってことなんですけれども。

読んだら常にマイナス点になる本と、読むタイミングを間違えるとマイナス点になる本もあるってことを、読書してない人は必ず見落とす気がする。特に哲学の類は、著者のスタート地点が分かってない状態で読んでも「これ読みました!」って自慢にしか使えないということが多いと思う。しかも立ち位置分からないで読むと変な感想を埋め込まれてしまって「要は〜〜ってことでしょ」とまとめてまるで役に立たない子を演じる愚も犯したりする。池田の人が『ニーチェの言葉』という最近のベストセラーをそういう類の言葉で滅殺してたと思う。あの人の主張が正しいかは知らんけど、確かにありうることなんだなぁと。

筆者の目的意識が最初に分かったとき「あ、この本は私の意図から外れてる」と考えて速やかに撤退するのもまた読書の重要なスキルなんであって、何であってでも手にしたからには読まなければならないというのは筋が違う。特に人文学書は別に反証出来る類のものでないことも多いし、自己満足のために書かれているものもあるしで大変。ただただある特定の時期のライバルをこき下ろすためだけに書き散らかした本なんか読みたいか、と。

大学の後半に少し自分の分野外の知識を自力で本読んで探っていた時に思ったのは、過去に多読で毒されてないということもまた重要な読書の素養である、ということなんであった。多読している人というのは、なぜか要点とかきちんと把握しているはずなのに、行動に生かせない傾向があるように思えてならないんだなぁ。

んで。

10代でそんなに読むことはないよ - finalventの日記

10代に読むべき本なんて言われましてもそんなタイミング問題を話されましても、って感じなんだがあえてかんがえてみよう…

良く分からんのだけど、私は受験シーズンに『東大生はバカになったか』とかいうバカみたいな本からなんとなく始めて、しかし今では橘の人がただの理系コンプレックスであるという帰結になってたりして、別に10代に読む本が名著である必要ねーんじゃねーの、と思うに至ってる。

#ちなみにオムニバス講義で本人の授業を受けたことある。ひじょーに素晴らしかったよ

量もそんなに重要じゃない。量をこなしている人は新しい本を特定の枠にとらえて受け止めがちという経験則 (主に自分自身の経験による) もあり、ある特定の実業なり形而上なりの要求が生じたときに丹念に興味のある本を読み解けるか、そういう熱意を貯めておくことの方が重要だと思う。ただ難しくて読んだらかっこよく見えるというために哲学なんかやるもんじゃねーな、と思った。哲学分かってないだけにさらにね。

#逆にどっちつかずの立場で浮遊したまま何もしない老翁状態に若いときからなってしまうということもありえる。振り返るものもないのに振り返る若者という感じ。

「入門書に手をつけておく」っていう助言も私はあんまり信じない。入門書の類は大抵その「入門」に解説者の思念が入っていて、そういう入門書を書こうとする輩のレベルが超高確率で原文書いた人よりレベルが低いから。レベルが低いといっても解説に秀でている人もいるわけで、その事実だけで否定するわけにもいかないんだけど、そういう風に開き直ってる入門書書きの連中はまず信用しない方がいい。原著を越えるほどの何かに挑むくらいでなければ、原著読んだ方がいい。

ただそれでも、「入門」の分野に今アツい著者が多いのも確かなんだよねぇ。

「入門」ってのは専門分野の触りってことがひじょーに多くて「何十年も研究してきたけど、ここは変わらないよねぇ」ってところの集合体だったりもするので、そこから入るのはひじょーに有意義だとも思うんだな。特に何度も「その考えは違うんじゃねーの?」と挑戦され、見事勝利しつづけてきた概念は一度はやっておいてそんはないと思う。

「入門」を読む際には入門を書いた人本人のレベルが並外れている、というのは一応良いポイントになる。んだが、ところで入門書を読むときにそれが分かってるのかという話があるんだ。

で、お前のおすすめはなんだ、バカ野郎

はいすみません

思うに次の要素が並び立つとネットとかを扱うことが多い人にとってはいい餌になるはず。それは10代かどうかとはあんまり関係ない

  • 導入が実務に沿っている。現実的な要求に基づいている
  • 議論の展開部で過去の各分野の重要な研究成果に一度触れている
  • 最後に現実的な要求において過去の研究がどう生かされ得るのか、どこがおかしいのかが記述されている

多分この「今→過去→今」の本が一番とっつきやすく口にしやすく外れが少ない。これだけで、ほとんどの日本人著者の本がぶっとぶと思うし。特に人気が出たってだけで大量に本書く連中の内容はかなり死ぬ。

で、割と良くやってるであろう人の代表例としては、この流れだと「サンデル」かなぁ。上の3過程のお手本みたいな書き方してる。現実の題材からカント以前に戻って現代に再び議題を移す、という。

で、もう一つ重要なのは、それって本一冊で完結してないことの方が多いよねということで、「現代の問題だけ徹底的に書いた駄文」と「過去の教科書じみた説教だけ書かれたゴミクズ」からナイスな見解を得ることも出きるんだよね、と。

ああ、それで、つまり、ええと、重要な見解が本一冊で完結に書かれてると期待しない方が多分良い結果を産むかなーということで、明確な問題意識をまず持つことから始めるのがいいのだと思います。問題意識を持たずになんとなく過去の歴史的展開だけに触れるのも、過去にたどった道を踏まえずに現代の状況だけ見て浅はかに論評するのもなしかなぁ、というわけで。

あー、何を書きたかったんですかね。何か質問があればコメントでどうぞ。答えません。