真 もわ爛漫

しゃーら、しゃーらしゃーら

シレン6のBGM周りの話

ダメっていう人がいるみたい。私も結構そっちかなっつー話。

シレン6の曲はそれぞれ単体で言えば悪くないんだけど、通底するテーマというか、曲を束ねたときに問題があるなっていう印象はある。自分はどこにいて何をしていくのか、というのをクライマックスに向けたテンションとセットで提示する、そういうBGMではない。尺八っぽい音使いすぎ。

これは初代を代表としたシレンのもともとの曲がよくできていたことの裏返しだと思う。最初は軽い、後半はだんだん重くなっていく感じ。プレイヤーとしての不思議のダンジョンが下手であったが故に成立するところもある。ハブーン怖い。曲は「まだ序盤だよ」と伝える。山頂から先がドンドン重くなってくんよ。

これはもうね、組曲のノウハウ的なやつなんだと思う(≒音楽理論に根ざした深いものを基礎に音楽感全体が構築されていて、表面的になぞらえて手に入る類の音楽体験じゃない)。

受託でそれらしい音楽を、悪く言えば乱造する人々には無理。発注と受注が切れている世界だと難しいんじゃないだろうか

シレンから「テーマ曲」が消えたわけだけど、個人的にはテーマ曲の同じ音階というのはつくづく作品の非機能性というか、振り返ったときの思い出の強さにすごい影響があると思う。初代のシレンのメインテーマってすごく良く思い出せる。シレン6でそういうのあるだろか。ちなみにシレン5にもこういうのは「ない」。

どっかで最近のゲームのBGMが良くなくなっているっていう話が出回っていた。その通りには思う。でもまぁ、ここに価値を置く人って結構稀とも思う。分解したときに価値に見えないんだよね。

KPIツリーみたいのに分けるという文化圏から、音楽の一貫性というかintegrityというのは生まれづらいなぁなんて思う。そういうのを表面的にひっかくと「シレン6の音楽はクソ」ということになっても私は驚かない。ただ、なんで「クソ」なのか、それをどう回避してきちんと採算性のメカニズムの中に一貫性そこから導かれる深みを得るかは私には良くわからない。表面的には、シレン6の音楽群は十分まともなBGMだと思う。

もう少しオブラートに包まず言うと、こういうことだ

  • はい、シレン6の音楽は私もすごく良いとは思いません
  • 音楽にゲーム全体を包含するもう少し深い構造が感じられず、いかにも表面的に雰囲気を表現しているだけにとどまっています
  • 雰囲気を表現する範囲ではOKラインだと思いますが、もともとの(初代の)音楽はゲーム全体の進行を想定したより深い音楽作品に捉えられる印象があり、シレン6の音楽がそれに対して劣後しているのはほとんど自明に思えるほどです
  • しかし、作者が悪いというふうには到底思えません。音楽を発注する側が、この音楽作品群に対して、初代において作り込まれていたテーマ性を重視するべき旨を伝えることもなかっただろうし、またそういうことを重視するという視点も通常持ち得ないであろうからです
  • 故に、「クソ」っぽい主張には合意するのですが、「クソでない」状態にするために何をするべきかは自明ではなく、表面的な一部のゲーム作りの修正によってなされるものではないと考えられます
  • ゆえに、仮に「クソ」だという点において同意する部分があるにしても、その現象が起きてしまう原因は音楽作成者や発注者のレイヤでなんとかなるような話ではなく、それがゆえ、近視眼的に「クソ」と表現することに対しては「それは失礼だろ」と思う部分のほうが多い。わざわざ公開の議論で話すことじゃぁない。

プライベートというか本業の範囲で、全く現象も経緯も違うんだけど「表面的にはあなたの主張は分かるんだけど、原因と対処方法はあなたが理解できるレベルの話じゃないんだよなぁ」なんていう話が鈴なりになっていて、学びにはなるけど成果にはならなーい、なんていう感じの悩みがあるんだけど、シレン6の音楽にも一部似たような現象がある気がしていて、もにょもにょする