真 もわ爛漫

しゃーら、しゃーらしゃーら

『パーソナルブランディング』

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4492555374/mowanetjp-22

☆☆☆★ (3.5)

企業が企業として持つブランドとは別に、個人が個人として持つブランドをビジネスにおいて活用する上での教科書的な本。ノウハウ本的な側面が強いが、なぜパーソナルブランディングが重要なのかも学べるので、とっつきにくい感じはないと思う。

私が読んだ印象では、対象となる読者が個人事業主か小規模組織 (会計士とか弁護士とか独立系コンサルタント) っぽくて、「大企業の中で自分のブランドを確立する方法」のような、組織の中で自己を目立たせるような手法についてではなく、自分の組織と自分自身が比較的タイトに結びついている状況で特に力を発揮するハウツーが多い。まだ大企業の下で大企業の後光を背に働くのが一般的な日本人のメンタルモデルには若干合わない感はある。

とはいえ、そもそも「パーソナルブランド」という概念自体が希薄な日本の現状からすると、この本の対象が自分向けでなくとも、何が言いたいのかは掴める気がする。最近「会社が潰れたときに自分の名前で世間様に通用しますか?」的な問をするタイトルの本があるけど、結局基本的に指向する方向は多分この本と同じだろう。そうすると、海外でベストセラーの座を勝ち取って晴れて翻訳して日本に上陸した本と流行ものの本でどちらを取るかと言えば答えは明らか。こちらの本を先に読んで、先程挙げた日本版の本をぱらっと読んでみるという順序が良いのではないかな。ちなみに私は以前から書いている通り日本人著者の本はあまり読まないので、多分今後も読まないけど :-P

この本について個人的に残念に思うのは、訳者が、日本で、えーと、個人的にはあまり好きではないのだけど、割と売れているシリーズを書いている人で、本の帯もそっちを前面に押し出している点。翻訳も細かいところを突っ込むと少し残念な感じで、正直「品格が下がるから別の訳者にしてくれ」とは思った。でも別に原著者が悪いわけではない。

私個人が描いている目標みたいなものと照らし合わせるとこの本だとまだ「食い足りない」んだけど、そういう場合でも個々のノウハウから学べることや、特に各章に設けられている「失敗しないための注意事項」は非常にためになるので、読んで良かったと思った。